国道153号 巴橋

前回ご紹介した「足助大橋」から東へ300mほど進むと、豊田市役所足助支所(旧足助町役場)があり、その先に再び巴川を渡る橋があります。「巴橋」です。

紅葉の名所として名高い香嵐渓はこの橋より上流部分に広がっており、秋の観光シーズンには狭い街中に各地から観光客が集うため、交通渋滞が多発する場所でもあります。

足助大橋とは対照的に、親柱は欄干のデザインは曲線を多用しています。

そして足助大橋同様、道路部分は幅員が狭いため、上流側には別途人道橋が設けられています。

円形を主体にデザインされた欄干の合間に挟まる角柱が、よいアクセントになっています。

頂点がRを描いた三重の柱部はアールデコ調ともいえるようなデザインです。

橋脚の取り付け部分にもアールデコの影響がみとれます。

円柱四本を組み合わせた親柱。

親柱の上部には、電灯が設けられています。

残念ながら、各々の親柱には銘板が取り付けられていたであろうと思われる取り付け穴の跡の様なものが見られるのですが、全て失われています。

足助大橋の項でも言及した国土交通省中部地方整備局の「橋梁の長寿命化修繕計画リスト」によると、建造・供用は1937(昭和12)年とのこと。
実は足助大橋、巴橋とも町の中心を通る道に架橋された当時としてはかなり立派な橋梁だったので、「足助町誌」になんらかの記述があるのでは、と思い愛知県図書館で調査してみました。ところが足助町としては町誌編纂時の道路・交通に関する最大のトピックは伊勢神トンネル(現トンネル)の開通だったためか、近現代の道路交通に関する記述は伊勢神トンネルに関するものが大半で、これらの橋梁については全く言及されていませんでした。

現地の図書館へ赴けば、また違った史料があるのかもしれませんが、そこまで調べることができていないで引き続き調べてみたいと思います。

橋脚は足助大橋同様の二連アーチ式。

橋桁は緩やかなアーチになっており、それらが連続する様は、丸みを帯びた欄干と相俟って、名勝香嵐渓の入口にふさわしい非常に優美な印象を与えてくれます。

橋の傍らには豊田市役所足助支所(旧足助町役場)があり、火の見櫓も残存しています。
半鐘などは失われており、町の広告塔として活用されているようです。

巴橋は足助大橋より建造年が4年若いことからか、「橋梁の長寿命化修繕計画リスト」では2015(平成27)年度に修繕工事ではなく定期点検が予定されています。

いずれはこちらも本格修繕工事が実施されるものと思いますが、足助大橋とともに足助のシンボルとして末永くその姿を保全して欲しいものです。

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