ロストラインフェスティバルin神岡 その2 復活運転と帰還式

その1からの続きです。

知人の車に便乗させてもらい、おくひだ1号を追跡します。第一の有名撮影ポイントは第一神岡トンネルの入口でしたが、こちらには間に合わなかったので、飛騨神岡駅に向かいます。

飛騨神岡駅から高台にある神岡小学校へと向かう、線路を見下ろす坂道には、多くの鉄道ファンの三脚が並んでいました。

飛騨神岡駅に到着したおくひだ1号。
予定では10分間の停車となっており、てっきりホームに停車するものと思っていたのですが、10年間レールマウンテンバイクでしか使われていなかった高架橋の耐荷重、強度に配慮したからか、高架橋のギリギリ手前、第一神岡トンネルから半身を出した形での停車となりました。

しばしの停車の後、ホーム上を進むおくひだ1号。

谷間にディーゼル音と共に汽笛を響かせながら、無事に高架橋を渡り、対岸の第二神岡トンネルへと消えて行きました。

さあ、また追走です。次の撮影ポイントは神岡大橋駅。
途中でおくひだ1号を追い越しましたが、沿線では鉄道ファンだけではなく、地元の老婦人が折りたたみ型携帯電話で写真を撮りながら列車に手を振る光景などが見られました。
まるで開通初日にタイムスリップしたような感覚に襲われ、胸が熱くなりました。

神岡大橋駅では神岡小学校新4年生の子供たちが旗を振りながら、おくひだ1号をお出迎え。彼らはこれから復活したおくひだ1号初の乗客となります。
彼らにとっては、生まれて初めて乗る神岡線の列車。

煙を上げながら、ゆっくり、ゆっくりと、おくひだ1号は神岡大橋駅へと進入してきます。

まるで開通初日のような光景。
10年前の廃線時、このような日が訪れるとは誰が想像したでしょうか…。

神岡大橋駅でも10分停車。「おかえりなさい! おくひだ1号」の文字と、おくひだ1号、神岡大橋駅名物のきのこバス停が描かれた横断幕を掲げて記念撮影。

旗を持つ子供たちが列車に乗り込み、おくひだ1号は一気に華やかさを取り戻しました。

笑顔の子供たちの写真を撮るお母さん。

そして汽笛一声、おくひだ1号は神岡大橋駅をゆるりゆるりと終点奥飛騨温泉口駅へと進み始めました。

我々も急ぎ奥飛騨温泉口駅へ向かいます。

3時間ぶりに戻ってきた奥飛騨温泉口駅は、朝の静けさとはうってかわって人、人、人。地元の新聞店さんが用意して下さった「おかえりなさい おくひだ1号」の旗を振って、ゆっくりと構内に進入してくるおくひだ1号を出迎えていました。
すべての人に笑顔が溢れています。

本当はホーム手前にゴールテープが張ってあり、おくひだ1号はマラソンのゴールのように華やかにそれを切ってホームへと滑り込んできたのですが、あまりに人が多くてそのシーンは撮り逃してしまいました。無念…。

無事に定位置に納まったおくひだ1号。
試運転が行われたとはいえ、10年振りの走行。どんなアクシデントが起こるやも知れない状況の中、無事に走りきったのを見届けて、全く当事者でもなんでもない私も、ほっと安堵すると共にこの上ない喜びが込み上げてきました。

到着後はくす玉が割られ、帰還式が執り行われました。

運転士さん、車掌さんには駅併設の喫茶店「あすなろ」の店員さんから花束の贈呈。

その後、都築飛騨市長の挨拶などがあり、帰還式も滞りなく終了。
最後は関係者で記念撮影。

出発式、帰還式で司会を勤められた斉藤雪乃さんの撮影会も開催されました。

とにかく奥飛騨温泉口駅はこの瞬間、笑顔に包まれたのでありました。

(続く)