富山地方鉄道鉄道線の全線走破を終えて、一旦イベントは休憩となりました。
電鉄富山駅では、10025編成の隣に、京阪電鉄から譲り受けた二階建て車両ダブルデッカーを連結した「ダブルデッカーエキスプレス」10030系10033編成が普通寺立山行として停車中。
両者の並びを駅撮りではありますが撮影できました。
一通り電鉄富山駅での撮影を行った後、売店を覗いたり飲料を補給したりと諸々の用事を済ませている間に、10025編成は稲荷町の車両基地へと回送されてしまい、気がついたらいなくなっていました。
続いての列車は再び電鉄富山からの乗車となりますが、そのまえに稲荷町の車両基地でちょっとしたイベントがあるので、後発のダブルデッカーエキスプレスに一駅だけ乗車します。
特急として運用される際には中間のダブルデッカー2号車は指定席となり、座席指定料金220円が必要ですが、この列車は普通列車なので、ダブルデッカーにも乗車券のみで乗車できます。
イベント参加者の方々もダブルデッカーに乗車。私が乗り込んだときにはかろうじて窓際席が一席空いていました。
京阪電鉄で特急として淀屋橋ー出町柳間を快走していた時代に既存の中間車両を改造して製造された二階建て車両。京阪3000系を譲り受けた10030系は「かぼちゃ電車」と呼ばれる新塗装、上半分が黄色、下半分が緑色なのですが、このダブルデッカーエキスプレスだけは京阪時代のカラーを採用しています。
そして二階席と階下席の間の壁面には、京阪時代そのままに時代祭の絵が描かれています。
行先表示機はダブルデッカーエキスプレスのロゴと2号車という表示で固定されています。
車内には、京阪特急のシンボル、ハトのマークが掲げられています。
二階席の混雑ぶりに比べ、やはり車端の一階席は人気がないようで…。
短い間ですが二階席からの展望を楽しみ稲荷町駅に到着すると、10025編成が車庫に入線していました。
丁度よい光線状態だったので、イベント参加者や一般のファンは私を含め皆しきりにシャッターを切っていました。
そんな盛り上がりの中、淡々と日常業務をこなす、かぼちゃカラーの14760系。
10025号の中央部をサイドから。富山地方鉄道では、中央に社紋、その両側に車号を入れるスタイルです。
この二枚連続になった側面窓も、日車ロマンスカーの特徴ですね。かつて良く乗った名古屋鉄道の5500系を思い出しました。
個人的には、やはりこの白とグレーに小豆色の帯の入った通称「雷鳥カラー」の方が好きですね。塗装の手間などを考えると大変なのでしょうが、このカラーはこれからも継承してほしいものです。
そうこうしているうちに、定期運用を終えた14722編成が稲荷町へ到着。
10025号の停泊する番線に進行してきました。
いよいよこれから、引退記念イベント「最後の競演」を飾る、10025編成+14722編成の重連走行が始まります。
「ちょっとしたイベント」というのは、この連結シーンの見学なのでありました。
まずはクハ172号の連結器カバーを外して準備。
そして徐々に10025号と172号が接近し…。
無事に連結完了です。
最盛期を彷彿とさせる二枚窓ロマンスカーの四両編成に、思わず胸が熱くなります。
無事に連結作業を見届け、今度は稲荷町から電鉄富山へ回送されてくる重連を写真におさめるべく、一足先に再び電鉄富山駅へ戻ります。
本題とは関係有りませんが、電鉄富山駅のシーサスクロッシング、格好いいですね。
いよいよ14722号が「特急 立山号」のヘッドマークも誇らしく電鉄富山駅へとやってきました。
こちらの14722編成も12月には引退。今日が両者が連なって走行する最後の機会です。
重連の特別列車は電鉄富山から中滑川へ、そして折り返してイベントの終着駅となる稲荷町駅の間を走行します。
今日は一日中10026号に乗車していたのと、14720系の引退の時にもイベントに参加できるかは分からないので、中滑川までの往路は14722号に乗車することにしました。
写真は172号の車内です。
14720系も、10020系同様、金網の網棚という懐かい設備。そして間接照明が、特急車両としての矜持を感じさせます。
なお、14720系の方が冷房の効きは良かったです(笑)
次第に夕暮れを迎えつつある車窓を眺めながら、中滑川を目指します。
最近はすっかり、こうした下段の窓が開く車両も少なくなってしまったなあ…などと感傷に浸ってしまいました。
中滑川駅に到着です。
中滑川駅では2番線に入線しましたが、2番線はホーム長が若干短いため、先頭の173号は、構内踏切のセンサーが働かないギリギリまで前に詰め、さらに最後尾の10026号は一番後ろの扉をドアカットしてようやく停車というちょつとしたアクシデントがありました。
夕日を浴びる丸みを帯びた美しいシェイプ。
停車中の10025号の運転席をパチリ。
マスコンハンドルが夕陽を浴びて輝いています。
参加者の皆さんが外に出ているので、味わい深い転換クロスシートをゆっくり撮影できました。
長い歴史を積み重ねてきた肘掛け。
長いようで短かった中滑川での折り返し時間も終了し、列車はいよいよ重連ファイナルラン、電鉄富山へ向けて出発します。
復路はいよいよファイナルランとなるので、10025編成に乗車します。
上市駅では列車交換の都合でしばし停車。
夕陽に輝く車体の美しさに見惚れてしまいます。
両編成の連結面。
黄金色に輝くサイドビュウ。
今回の個人的ベストショット。
上市駅でのひとときは本当に素晴らしく、思わず「このまま時間が止まってしまえば良いのに…。」とさえ思ってしまいました。
そして次第に日が沈み行く中、列車は終着駅となる稲荷町駅に向けて最後の力走。
常願寺川橋梁をはじめ、沿線にも多数のファンがカメラを構えたり、手を振って見送ってくれました。
稲荷町駅に到着。名残惜しいですが、これでイベント列車の全運行が終了。
私たち参加者も、全ての荷物を持って稲荷町駅のホームへと降り立ちます。
回送となり、引き上げ線へ向かう重連。
折り返して車両基地へと進入します。
元西武レッドアロー「アルプスエキスプレス」16010系、元東急8590系の17480系、デキ12021号と並びます。
10025号と172号の切り離し作業が始まりました。
作業の間、これからの富山地鉄を支えてゆく10030系、16010系、17480系を。
14760系がいないのが少し残念でしたが、それぞれの車両もロマンスカー重連最後の姿を目に焼き付けているように思えました。
切り離し作業完了。これでもう二度と富山地鉄の日車ロマンスカー重連は見られません…。
日も暮れゆき、夜の帳に包まれてゆきます。
14720系はデキ12021号の前に停車し、10025号との並びが実現しました。
ヘッドライトや室内灯が点灯され、昼の立山駅引上線とはまた違った美しい光景が繰り広げられます。
参加者も夢中でシャッターを切ります。
構内での配車の都合上、並んでの撮影時間は非常に限られていたのですが、偶然にも上滝・不二越線の普通列車16010系電鉄富山行が横をすり抜けて行きました。
最後は10025号は「特急 うなづき」、14722号は「アルペン特急 立山号」で有終の美を飾りました。
こうしてすっかり夜間撮影会となってしまった稲荷町車両基地での撮影会もお開きとなり、イベントの全行程がつつがなく終了しました。
朝の集合から夜の解散まで、本当に素晴らしいサービスの連続で、このイベントを企画して下さった富山地方鉄道のスタッフの皆様に、心より御礼申し上げます。
このブログをアップした前日、9月29日には、10020系のラストランイベントが開催されました。筆者は参加権を得ていたものの、体調不良により断腸の思いで参加を断念してしまいました。
Twitterなどで参加された皆さんの写真を拝見していると、ラストランイベントも盛況だったようです。
次はいよいよ「富山地鉄の顔」ともいえる正面二枚窓、雷鳥カラーの最後の一編成、14720形が12月に引退し、一つの時代が終わりを迎えます。
おそらく今回のようなイベントが企画されるものと思われますが、参加できるかどうかは神のみぞ知るところ。
今はただ、14720系が無事に安全運行を続けてくれることを願うばかりです。
そして最後に。
10020系、長い間の活躍お疲れ様でした。
(了)