つづき。
東三日市駅は黒部市の中心部に一番近い駅です。駅の規模としては、隣の電鉄黒部駅は有人駅、三面三線のホームを有するちょっとした拠点駅ですが、こちらは一面一線のシンプルな配置で、しかも平日朝以外は無人になります。しかし特急も停まる主要駅です。
二辺に広がる階段、瓦屋根にタイル張りという和洋折衷のデザイン。「東三日市駅」という駅名表示もモダンな雰囲気を漂わせています。
待合室は広く取られています。平日の朝だけは駅係員が配置されるので、出札窓口も愛本駅のように潰されることなく残っています。
富山地方鉄道の改札口には「定期券拝見」という札が下げられているのが特徴的。田舎の電車だと、昔はよく常連さんがフリーパスみたく乗り降りしている光景を見かけたものですが。
駅名板は何故か情感たっぷりな書体。他の駅では見なかったんですが、もともとこの駅だけなのか、それとも昔は標準的なデザインだったのか…。
しかも仮名は「ひがしみっかいち」なのにローマ字表記が「HIGASHI MITSUKAICHI」とか不思議すぎる。
さてさて、お隣の電鉄黒部駅もなかなか見ごたえのある建築なのですが、前回黒部峡谷へ行ったときに立ち寄っていますので、今回はパスしてさらにその隣の電鉄石田駅へ。
三角屋根に、縦長窓というデザインは電鉄黒部駅にも通ずるものがあるように思えます。
入り口部分は写真では分かりにくいかも知れませんが、正方形のタイルで装飾されています。芸が細かい。
でも、裏から見るとかなり平凡な田舎の駅にしか見えなかったり。
ホームの上屋は小さいながらもがっちりとした構え。やはり雪国ゆえ積雪に耐えうる強度を持たせているのでしょうか。
ぶっとい柱に頼もしさを感じてみたり。
さて、本日最後にご紹介するのは経田駅。
台形をした破風は地鉄各所で見かけるのですが、トタン葺きの愛本駅などとはかなり趣が異なる印象です。
横から見てみると張り出していますが、ここは待合室の一部になっていて、どうも後から拡張されたように見受けられます。
中から見るとこんな感じ。不自然に出っ張っているので、どうも元々こういう設計だとはちょっと思えないのですよねえ。
この経田駅。駅舎裏手に便所があるのですが、そこへ向かう途中、駅舎の物置のようなスペースに、なんと湧水がこんこんと流れ出ておりまして。
さすが黒部から魚津にかけては名水の町。まさか駅舎の中に湧き水が流れているとは。
飲用可能か分からなかったので、残念ながら飲んでみてはおりませんが、顔を洗ってみたら冷たくて実に気持ちの良いこと!
多分飲んだら美味かったんだろうなあ、と今更ながらちょっと後悔してみたり。
さて、経田駅から魚津市内に入りました。
次回は個人的に色々な意味で思い入れのある、電鉄魚津駅をご紹介いたしましょう。
つづく。