前回の「国道103号 酸ヶ湯界隈の冬」でちょっと書いた、雪壁に開いた何か穴のようなもの。
(下の写真)
その正体は、冬季限定の雪のトンネルです。
酸ヶ湯温泉旅館の裏手にある南口から国道103号の地獄沼方面をショートカットする階段道があるのですが、冬の間は数メートルの積雪に埋もれてしまうため、この通路の部分だけ除雪して雪のトンネルが通されるのです。
ところが今年はどうも例年に比べ積雪が少ないようで、訪問時は崩落の恐れありとのことで関係者以外通行不能になっていました。
ということで、過去の写真を使いながらこの雪のトンネルをご紹介したいと思います。
まずは国道103号側の今年の様子。竹の柵がちょっと崩れてしまっていますが、通行止めとなっています。
(2013年2月)
下は昨年の同じ時期の写真です。確かに今年の状況と比べると、土被りというか雪被りの厚みが大きいですね。
(2012年2月)
ここからは過去画像にて。
洞内に入り、入口方向を振り返ります。
洞内は階段になっています。高さは最高でも180cm程度でしょうか。頭をかがめて歩かないと頭をぶつけてしまいそうな感じです。
雪の壁はスコップで除雪した痕が鮮明に残り、白さや光の加減とあいまって、非日常的な空間を演出しています。
(2012年2月)
積もった雪をくりぬいただけなので、洞内には照明がありません。下の写真は入口から酸ヶ湯南口方面に向けてストロボを焚いて撮影したものです。
実際には入口からの明かりのみとなりますが、白い雪壁に乱反射しておぼろげながらかなり奥まで光が届くので、辛うじて懐中電灯などの照明が無くても歩けるレベルです。
(2011年2月)
上の写真ではこのままどん詰まりになっているように見えますが、階段は右に屈曲して続いています。
クランクを描くように続く階段の先が明るくなってきます。初めて通ったときは、「もう出口か、意外と短くてがっかりだな」と思ったものですが、さにあらず。
(2011年2月)
明かりの正体は、天井に空けられた採光用の穴でした。
雪洞があまりに長く、この辺りはちょうど国道側、酸ヶ湯南口側双方から自然光が到達しえない位置にあたるため、雪洞の天井を空けて自然光を取り入れているのです。
普通の隧道で同じことをやったら地山の崩落を誘発しそうですが、そこは簡易雪洞なのでアバウトです。
(2011年2月)
(2011年2月)
採光部から更に進んで右カーブを曲がるといよいよ出口が近づいてきます。出口手前から入口方向を振り返って。
(2011年2月)
いよいよ出口が見えてきました。
(2012年2月)
出口です。
雪に覆われた斜面と旅館の建屋にはさまれた狭い空間に、ぽっかりと穴が開いています。
(2012年2月)
今年は竹竿をX字状に組んだ柵が設けられ、通行止めになっています。
(2013年2月)
酸ヶ湯温泉旅館南口です。
常に多くの観光客、湯治客で賑わう表口に比べ、ひっそりとした佇まいです。
宿泊している人でも、この南口の存在を知らないことが多いのではないかと思います。
この扉を開けて中へ入り階段を下りると、一階の食堂鬼面庵、土産物売店の奥に出ます。
(2013年2月)
今回は残念ながら通行ができませんでしたが、かなりの長さを誇る雪のトンネルは、幻想的な白の世界を体験することができます。
隧道ファンなら一度は通ってみる価値があるかと思います。
場所はこちら。(ストリートビューにて)