日立電鉄クモハ352

日立電鉄は茨城県常陸太田市の常陸太田と日立市の鮎川との間18.1kmを結んでいたローカル私鉄で、2005年3月末を以って廃止されています。

廃止後いくつかの車両は解体を免れ、払い下げられて倉庫などとして利用されています。今回ご紹介するクモハ352もその中の一両です。

畑の中にドンと置かれた廃車体。迫力があります。
現在は農作業の倉庫として利用されており、周囲には同じく日立電鉄の廃車体や、トラックのバンボディなどが倉庫として転々と配置されています。

このクモハ352は、もともとは静岡鉄道のクモハ350形という車両で、1968(昭和43)年に製造されました。
車体長約18m、戸袋窓のある両開戸にサッシ窓という近代的なスタイルながら丸っこい顔の愛嬌のある車体ですが、この車体は車両メーカーではなく静岡鉄道長沼工場が自社で製造したもの。
これだけの車体をローカル私鉄が自社工場で製造するのは大変珍しく、静岡鉄道が高い技術力を持っていたことを窺わせます。

しかしながら、機器が旧型車両からの流用であったり軽量構造で外板が薄く、製造年次の割りに老朽化していたことから、1994(平成6)年に廃車となり、農業倉庫として余生を送りはじめました。

廃車から更に20年近くを経て、外板の腐食はかなり進んでいます。

ナンバーは切り抜きプレートではなく塗装でした。

運転台の上部には扇風機。
冷房は無く全面の窓も固定だったので、夏場の運転台はかなり暑かったのではないでしょうか。

近寄って。
個人的にこの顔がすごく好きです。どこか垢抜けない感じ。

正直なところ先はあまり長くないのかな、とも思ってみたり。

なんとか長く保存してほしいものですが…。

こちらは保存車両ではなく個人の方が現在も利用されている倉庫になりますので、場所は掲載しません。