前回の「日立電鉄クモハ352」からわずか200mほどのところに、別の廃車体が農業倉庫として利用されています。日立電鉄モハ13です。
羊羹をナイフでスパッと切ったような平らな正面が特徴的。
しかしもともとは、この車両はこういう外見ではなかったのです。
このモハ13号は、現在のJR東日本相模線の前身である相模鉄道のキハ1000形として1935(昭和10)年に製造されました。
「キハ」という名の通り製造当初は気動車でしたが、その後電車に改造され、1948(昭和23)年に日立電鉄へ譲渡されました。
この車両が製造された昭和10年当時、世界的に工業デザインでは流線型がブームとなっており、鉄道車両でも国鉄モハ52形やC53 43号機、愛知電気鉄道(名鉄)3400形など多くの特徴的なデザインの車両が生み出されましたが、このキハ1000形も前面が傾斜したデザインを採用していたのです。
「はーさんの鉄道・旅・よしなし草」というサイトに改造前の写真が多数掲載されていましたのでリンクさせて頂きます。
>> はーさんの鉄道・旅・よしなし草 日立電鉄(1961年1982年)
しかしやはり前面が傾斜したスタイルは使いづらかったのか、後年の改造時に現在のようなスタイルに変更されてしまったのです。
ブタ鼻ライト。
自重は20.3トン。
ワンマン運転用のバックミラーが、悲しげに空を映していました。
朝日を浴びる日立電鉄の社紋。
こちらもクモハ352同様、かなり老朽化が進んでいます。貴重な車両だけに、なんらかの形で保全が行われると良いですね。
今回も個人の方が現在も使用している設備ですので場所は明記いたしません。