国道156号 福島保木廃道 その1

国道156号を北上して荘川の町を越えると、国道は御母衣ダムによる人造湖、御母衣湖の上流部を進みます。
いかにもダム工事による開発を思わせる側壁が垂直になった隧道やダム湖を高い橋脚で跨ぐ橋梁など、土木愛好家の心をくすぐる構造物が多く観られるエリアとなります。

そのクライマックスともいえるのが、「福島歩危」です。

「歩危(ほき)」とは読んで字のごとく、非常に危険な難所を示す言葉で、この地域では「内ヶ戸歩危」、「下田歩危」、「平瀬歩危」などが地名として伝えられているほか、四国にも大歩危、小歩危など読み方こそ異なりますが、由来は同じと思われる地名が残っています。

そして福島歩危。
今風のコンクリート坑門と、脇へ反れる小道。典型的な廃道のアプローチです。

「一般車両通行止」とはかかれていますが、通行止ではないので、徒歩なら通行可能と解釈してよろしいでしょうか。

新旧隧道。旧道の坑口は緑の奥、影になっていまってわかりづらいですが…。
そしてトンネルの名称は新旧とも「歩危」という字を嫌ったのか、「福島保木」の名がつきます。

旧道。断面が馬蹄形でなく、側壁が垂直になっている、ダム絡みではよく見られる断面。
個人的にはかなり好きな形状です。

1999(平成11)年まで現役だったので、警告看板も新しいものが目立ちます。特に断面注意の看板はひときわ大きく、現道に残る同規格の尾神一号トンネルなどではまだ現役で利用されているものです。

葉に隠れてちらりとしか見えませんが、タイルで一文字ずつ埋められた扁額には、「福島保木1号トンネル」と記されています。

後年設置されたプレート。

いい感じに枯れていますね。

北側坑口は、鋼製のスノーシェッドに直結しています。

来た方向を振り返って。

連続するシェッドの桁、インコースの石垣、矢印看板、カーブミラー、徐行の看板、苔むしたアスファルト…。一線を退いた道に、つい「お疲れ様。」と声をかけたくなってしまいます。

カーブの先はまた隧道。そしてその向こうはスノーシェッド。
しばらくは圧迫されたような空間が続きます。現役時代、ドライバーにはかなりストレスのかかる道だったものと思います。

先はまだ長いので、今回はこのあたりで。

次回へ続きます。

 

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