国道19号を木曽福島から分かれて国道361号の開田方面へ進むと、きそふくしまスキー場、新地蔵トンネルへと至る現道から、峠道となる旧道が分岐します。
日帰り温泉施設「二本木の湯」の幟が目立つ交差点から旧道をしばらく進んでゆくと、橋が二つ仲良く並んで架けられている光景が目に入ります。
下流側から向かって右側が新橋「樽沢橋」、左側が旧橋になります。橋は双方とも川に対して斜めに架けられています。
旧橋は一見すると変哲のないコンクリート製の桁橋かと思いきや、これが立派なアーチ橋。
佇まいが「菅橋」と似ています。
場所も近いですし、設計者が同じか影響を受けているものと思います。
残念ながら親柱は左岸上流側のものしか残存していません。
しかも銘板がないので名称も建造年もわかりません。仮に旧樽沢橋としておきましょうか。
1933(昭和8)年建造のの菅橋と、さほど変わらない時期だとは思うのですが…。
かなり劣化が進んでいますが、やはりアールデコ調の重厚な意匠です。
キーストーンのような装飾は、菅橋同様こちらでも見られます。
上流側から。
さして交通量が多いわけでも上下線を分離しているわけでもなく、そして旧橋を閉鎖するでもなく。
よくぞ新橋架橋後に撤去されなかったものです。
カーブを描く欄干。
下流側は老朽化が進んだのか、後年倍ほどの厚みのあるコンクリートで補強されており、橋上から欄干の意匠をみることができません。
右岸上流側。どうみても途中で欄干が欠落していますね。
ややぎこちなさを感じさせる欄干のカーブ。
欄干の開腹部は菅橋同様尖塔状ですが、こちらの方が丸みが少なく三角形に近い形状です。
下流側は左岸の欄干がカーブしています。
かなり老朽化が進んでおり、一部は鉄筋が露出しています。
下流側のキーストーン状の装飾は何故か撤去されてしまっていました。
欄干が内側から補強されていますが、外側から眺めると、あまり気になりませんね。
菅橋が土木遺産に選ばれているのに対し、こちらの橋はかなり手が加えられていることからか、そのような脚光を浴びることもなく、ただ淡々とそこに横たわり人々を支え続けています。
もし菅橋を訪れることがあれば、是非あわせてこの旧樽沢橋も訪問することをお勧めいたします。
場所はこちら。