その1からの続きです。
峠のピークに達しました。結局明治の道の痕跡は全て林道事業によって上書きされてしまっていました。
しかしながら、地形図を見る限り隧道開削後も現役道として活躍し続けた本郷側も、なかなか面白そうな線形なのでそちらを観察してみようと思います。
峠の光景。
ここには丸い顔のお地蔵様が祀られているのですが、今回は、とにかく前回記した通り指を車のドアに挟んでしまい激痛が襲っていたので、お地蔵様へのお参りは次回にさせてもらい、そのまま通り過ぎてしまいました。
後日必ずお参りに行くので許してください、お地蔵様…。
峠より北は、杉が立ち並びそれまでの林道とは様相が一変し、北向き斜面ということもあって鬱蒼とした雰囲気を感じさせます。
道は非常に緩やかな勾配が続きます。
木々の影から垣間見える本郷の町まで距離はごくわずかですが、まだかなりの高低差があり、このままの勾配ではいつまでたっても麓へ下りることができません。
峠のほうを振り返りつつ下を眺めると、一本の道が下に続いているのが見えました。
この道こそが、今自分の立っている道の進んだ先にあたるのです。
そしてそれまでの穏やかな勾配だった分を一気に帳尻を合わせるようにして、急勾配のヘアピンカーブが現れます。ほぼ180°といっても良いような見事な曲がりっぷり。そして特に登り側がこのカーブの部分だけ相当の勾配になっています。
カーブの外側から。
峠の先には中部電力の施設もあるとのことでしたので、比較的重量のある車両も通行するのでしょう。それだけにアスファルトでは路盤に負担が掛かるからか、この部分だけはコンクリート舗装になっていました。
そしてそんなヘアピンカーブを過ぎるとまたもや緩い勾配ののんびりした道に変貌します。
しかし路肩がコンクリート法面になっていることから凡そご推察いただけると思いますが、この下にはもう一段道が続いているのです。
二度目のヘアピンカーブ。
こちらのほうが曲がり方には先ほどに比べて若干余裕があるようです。そのためか、舗装もコンクリートで強化されてはおらず、アスファルトのままになっています。
それでもやはり急なカーブであることにはかわりありません。
ちょっと引いて見てみると、思わず笑ってしまうような見事なUの字を描いています。
こちらもヘアピン部をカーブの外側から。
上段のカーブに比べると路幅には余裕があります。ただ、落葉の様子からも分かるように大半の車両はインコースぎりぎりを攻めて通行しているようですが(笑)
最後のカーブを過ぎると、あとは国道への接続地点へ向けて、また今までと同じような勾配の道が続きます。
正直なところ、ヘアピン部分以外は似たような光景が続くので、こうして写真を載せていても似たような写真ばかりで、申し訳ないのですがご容赦ください。
町道との合流地点にやってきました。
合流部分は、それまでの勾配に比べるとやや急になっています。
そして合流した町道から100m足らずで、町道は国道151号と合流します。
合流地点には、新旧本郷隧道が口を開けており、新本郷トンネルは、かなり多くの車が、かつての峠道の苦労など我関せずで、びゅんびゅんと通り過ぎて行きます。
今回の峠の旧道については、手元に最新版の1:25,000地形図があり、そこには道の記述が全く無かったこと、そして「国道一五一号一五一話」の徒歩でも辿れないという記述を元に現地を訪問したのですが、帰宅してから地理院地図を確認してみたら、ものの見事に林道が描かれていました。
国土地理院 地理院地図より引用
先にこれを見ておけば、期待に胸を膨らませることもなかったのですが…。
普段なら最新の状況が反映されている地理院地図はチェックしておくのですが、なまじ比較的気軽に訪問できるエリアだったので、その作業を怠ったが故のガッカリ。
事前の下調べの大切さを、改めて思い知らされたのでありました。
次回は最後に、この難所を解消すべく開削された新旧本郷隧道についてご紹介したいと思います。
つづく