JR東日本 花輪線十和田南駅の東方約500m、浜田地区の市道沿いに立つ櫓。屋根はほぼ円形に見えるがよく観察すると12角形で、頂部には避雷針と風向計が設けられている。
見張台は円形で梯子の出入口部分が大きく切り欠けられている。高欄は手摺、水平材、下部外縁が太めの平鋼製、垂直材が細めの平鋼製。垂直材の間隔は疎らで、その間には垂直材と同じ平鋼を用いた斜材が入れられている。床板はエキスパンドメタルを敷いたもの。
脚は三本。この櫓は主材、水平材
をはじめ屋根の梁などの部材に古レールが用いられているのが大きな特長。レールは推定で15~20kgレールと見られ、どこかの森林鉄道か鉱山軌道からの払い下げと想像されるが、出自は不明。火の見梯子など低層の簡易なものでは古レールを利用した例は散見されるが、高層の本格的な櫓の構造をしたものは希少な存在といえる。斜材は丸鋼製をリング式のバックルで締結したスタイル。各部位の接合は、主材と水平材は六角ボルトにより、斜材は主材のレールを穿孔し、そこをU字型に貫通して隣の面の斜材と一体になっており、この工法も他ではあまり見られない。櫓本体は2つのブロックに分かれて製造されているが、その両ブロックの接合にもレール用の継ぎ目板が使用されている。
梯子は一段で桁外設置。基部も他の節と同様の構造で、主材は直接コンクリート基礎に埋設されている。
※撤去済みです。
(2019年8月訪問)
屋根 | 12角型 |
---|---|
半鐘 | なし |
見張台 | ○型 |
脚 | △型 |