湧水で有名な柿田川公園のすぐ西隣、国道1号八幡西交差点を南へ入り、すぐの脇道を東へ入った裏道沿いに建つ櫓。屋根は四角形で、むくりと反りが幾重かに組み合わさったやや複雑な形状をしている。頂部は擬宝珠のような造作となっており、先端が四ツ叉になった避雷針を備えている。また、半鐘は見られず、代わりにスピーカーが三方向へ向けて設置されている。欄間にあたる部分にはアーチ状の造作がなされている。
見張台は四角形で、手摺と下部外縁が等辺山形鋼製、外縁が鋼管製、垂直材が丸鋼製。床板は平鋼を簀の子状に並べたもの。特に装飾的な要素は見られない。
脚は四本で、主材が等辺山形鋼製、水平材と斜材は平鋼製で、各部は主材に直接リベットで接合されている。
梯子は本来二段であったものが下段部分が欠損し、桁内設置の上段部分のみ残存している。近隣の櫓の形状から類推すると下段は桁外設置であったと思われる。中間には張り出しのない踊り場があり、梯子の出入り部分は斜材がなく、主材に並行するように手摺に用いていたと思われる鋼管が取り付けられている。
基部は方杖状にハの字型の斜材が入れられており、基礎近くには水平材が渡されている。櫓本体は地表面からやや嵩上げされた基礎に埋設されたベースプレートに丸頭ボルトで固定されている。
前述のように下段梯子が欠損していることから、見張台へはかなり長い梯子もしくは梯子車がないとアプローチできず、すでに火の見櫓としての機能は残念ながら失われているものとみられる。
(2020年2月訪問)
屋根 | □型 |
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半鐘 | なし |
見張台 | □型 |
脚 | □型 |