Page01 (2000年6月10日)
森の入口には、万博の開催を告げる看板が立てられていた。
小さな虫たちにとっても、ここは楽園なのだろう。
孵化した幼虫達は、夏の空へ旅立つ準備を進めている。
周囲の静寂を破るが如く現れる横断幕…。
この森が今置かれている現実。
森を流れる清流は冷たく、涼しげな水音で訪れる者を迎える。
里山の開けた場所に作られた水田の畦に咲く、可憐なアザミ。
立ち木トラスト運動の一幕。
博覧会阻止を掲げて当選した国会議員は、
公約を翻して政権党に鞍替えした。
緑に囲まれた、気持ちの良い砂利道が続く。
晴天なら、なお心地よい事だろう。
この森が大都市郊外にある事を忘れさせてくれる、幽玄な佇まい。
朽ちた木は、ただ黙々とこの森の風景を眺め続けていた。