土倉鉱山跡
主要幹線とは決して言えない、交通量も少なく道幅の狭い県境を繋ぐ国道から未舗装の林道に分け入ると、急に視界が開けて眼前に遺構が広がる。
その佇まいは、この地を訪れた人をして「神殿」と形容させる。確かにもはや何の用も成していない柱が立ち並ぶ様は、ギリシアの神殿などを思い起こさせなくもない。
本来、装飾とは無縁の実用本位で設計、建造されたこれらの遺構が、時を経て「神殿」とまで形容されるというのは皮肉なものである。
選鉱場の成れの果てであるこの場所は、時々演劇の舞台などとしても活用されているらしい。
単なる老朽施設として解体の憂き目に遭う産業遺構が多いなかで、文化との繋がりが今なお保たれ続けているというのは、とても素晴らしい事だと素直に感じた。
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