火の見櫓図鑑

Home > 火の見櫓の形態 > 屋根

Facebook Twitter LINE Pin it

屋根

火の見櫓に最も表情を与えているのは、屋根の造形だろう。形状だけでも、丸、三角形、四角形、六角形、八角形など色々あり、更にそのそれぞれに、反り屋根や直線屋根、むくり(起り)屋根、照り屋根(軒の部分が反っているもの)など様々だ。

一基ずつ異なるこれらの屋根は、火の見櫓に表情を与えている。屋根飾りと共に、火の見櫓の「顔」と言っても差し支えないのではないだろうか。

屋根の類型

平面
丸型
三角型
四角型
六角型
八角型
断面
 
直線
反り
むくり
照り
 

屋根なし

籠のような形状の見張台があるだけで屋根のない櫓。
(岩手県八幡平市)

中央に半鐘と蛍光灯を支える柱が設けられているが、屋根は掛けられていない。
(山梨県甲州市)

もともとは屋根が設けられていたが撤去されたと思われる。屋根板が傷むと、補修をせずにそのまま撤去して屋根なしとなる例も散見される。
(神奈川県横浜市)

丸型

菅笠のような、どこか牧歌的な雰囲気を感じさせる屋根。
(長野県富士見町)

見張台を覆う大きな円錐形の屋根。雪国の重々しさを感じさせる。
(秋田県鹿角市)

漏斗を逆さまにしたような、反りのついたの屋根。
(長野県白馬村)

三角型

半鐘だけを守るこぢんまりとした屋根。
(愛知県蟹江町)

三角型で反りが付けられた屋根。尖塔のような印象。
(岐阜県恵那市)

四角型

分遊びのない実用本位のデザイン。重厚な感じがする。
(神奈川県二宮町)

直線屋根に風向計やひげをあしらい、上のものに比べると随分と優雅な印象。
飾りがいかに屋根の印象を左右するかがよくわかる。
(岐阜県揖斐川町)

非常に浅い屋根。軒のアーチ状の装飾とともに教会の鐘楼のようなイメージ。
(静岡県裾野市)

静岡県でよく見られるむくり屋根。宮殿のような異国情緒を感じさせる。
(静岡県富士市)

六角型

角が多くなるに従い造形が複雑になるためか繊細さが増すように感じられる。
(長野県富士見町)

大陸的なイメージを抱かせる、底の深い六角屋根。
(長野県富士見町)

八角型

小振りな屋根の、反りとひげのカールが非常に目を引く。
(長野県中野市)

チューリップハットのようにも見える大きな屋根。八角で反りを入れたデザインは加工が難しそうに感じられる。
(長野県須坂市)

UFOのようにも見える独特の形状の屋根。造作にはかなりの手間がかかっていると思われる。
(茨城県常総市)

特殊な形状

七角形に大きく切り欠きを入れた星型のような幾何学的な形状。
(青森県青森市)

屋根の代わりに鈴なりのスピーカーを載せている。近隣の櫓の状態や脚・桁のデザインからすると、元々は一般的な四角屋根が載せられていたと推察されるのだが…。
(群馬県安中市)

屋根というより、屋根飾りと支柱を一体化したデザイン。これに類する形状は愛知県東三河地区に多い。
(愛知県岡崎市)