Canon T50
高校一年生の頃、どういう話の流れでそうなったのかは全く覚えていないのだけれども、とにかく親が私にカメラを買い与えてくれる事になった。そして、生まれて初めての「自分専用」の一眼レフとして手元にやってきたのが、このT50だった。
まだ当時はAF一眼は登場したばかりで、比較的高価だった。また、その後急速な勢いでマニュアルフォーカスが駆逐される事など予想だにしていなかった。それゆえ私はごく自然に、MF一眼レフを選択した。
ただ一つ、私は本体の選択で大きなミスを犯した。買う時には写真の知識があまり無く、更に私はTシリーズがデザイン的にとても好きだったので、デザインと価格だけでT50を購入した。しかし、このT50には根本的かつ重大な欠点があった。それは、プログラムAEオンリーで、それ以外の一切の操作を受け付けない、という事だった。つまり、T50というのはレンズ交換ができるコンパクトカメラみたいな物だった訳だ。オートマンという愛称も頷ける。
最初のうちは、それでも良かった。でも、やはり写真と言うものを多少なりとも覚えてくれば、当然シャッタースピードや露出を自分でいじりたくなる。しかし、T50にはそれが出来ない。このカメラがユーザーに要求する操作は、電源のON/OFFと、シャツターボタンを押すことくらいしか無いのだから。そして私は次第にこのカメラに不満ばかりを抱くようになり、結局大学に入ってすぐに、中古のT70を購入して乗り換えてしまった。そしてそれ以来、このカメラをメインとして撮影に出掛けた事は今日に至るまで無い。
しかし、あまり深く考えずに気楽に写真を撮るのには、実はこういうカメラ一番良いのではないだろうか。久しぶりにT50を片手に街中をブラブラ歩くというのも、悪くない話かもしれない。