Canon T90
現在銀塩ではメインで使用しているのが、このキヤノンT90だ。曲面を多用したボディデザインや大きく張り出したグリップ、コマンドダイヤルによる操作は、今でこそごく当たり前に使われているが、それを初めて採用したのが、このT90だった。
スペック的にも、現在の中堅AF機種と比べて何ら遜色がない。中でも一番の利点は、単三乾電池4本で秒4.5コマのモータードライブが駆動するという点だろう。単三乾電池ならどこででも手に入るし、ランニングコストも抑える事ができる。そして同じ単三乾電池駆動のAFカメラと比べると、使用本数が少ないだけに圧倒的に軽い(とは言っても実際800gほどあるのだけど)。
もう一つ気に入っているのが、マルチスポット測光だ。8点までの任意のスポットの測光値を演算して、最適な露出値を算出してくれるというのが、この機能の特長。今の評価測光はかなりの正確さで測光値を弾き出してくれるけど、こいつの良いところは測光ポイントと、そこの値にどれだけ比重を置くかが自分で決定できる、という点にある。基本的に全自動というやつが信用できないくせに、ぐうたらで自動化そのものには頼ってしまう私のような者には、大変都合が良いのだ。
キヤノンのMFカメラは、システム全てが生産中止になって久しい。将来の事を考えて徐々にEOSへの移行も進めてはいるのだが、個人的にこのT90を上回る性能と使い勝手を持つカメラが現れず、本格的なシステム移行に踏み切れずにいる。
いずれにしても、NewF-1を購入したとはいえ、問題なく作動している間は、銀塩撮影時にはT90がメインのカメラとして活躍するのだろう。既に部品交換を伴うアフターサービスが受けられないため、壊れたらお終いという、永遠に解消されることのない不安を抱えた状態ではあるのだが。