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Canon T70 

 写真を覚えはじめていろいろとやりたくなった頃に購入したのが、このカメラである。確か東京の某中古ショップでボディのみ2万円というプライスが付けられていたと記憶している。

 それまで使っていたT50はプログラムAEオンリーで自分の意思を反映した撮影が大変難しい(というか不可能)なカメラであった。そこで大学に入ってすぐに、私は新しいカメラを物色しはじめた。同じTシリーズの上位機種、という事でT70を探していた。もちろんT90には当時から憧れていたけれども、高価で貧乏学生にはとても手が出る代物では無かった。

 ある程度の機能を備えたFDマウントの中古のカメラ、という観点で見れば、実際のところはAE-1あたりが妥当だったのだろう。「連写一眼」のコピーで爆発的な人気を博したAE-1なら、当時は中古市場でもタマ数が豊富で、程度と懐具合を相談しながらじっくり選ぶ事ができた。それに引き換えT70は、一眼レフ人気が下り坂の時期の機種、しかもAF時代の到来という時代の流れの中で、位置付け自体が中途半端なまま短命で終わってしまった。そのためか、購入当時は比較的新しいカメラであったにも関わらず、中古店の店頭でT70を見かける機会が少なかった。

 そんな状況下では、中古店自体がさほど多くない私の住む街では、当然ながら品揃えが貧弱でなかなか店頭に並ばなかった。そこで私は、東京へT70物色の旅に出掛けた。もちろん貧乏学生なので、夜行の普通列車で。

 結局東京の中古店を十軒以上周り、冒頭のボディのみ2万円というこのタマに出会った。意外というかやはりというか、東京でもT70には余り出会う事ができず、稀に遭遇しても35-70mmレンズ付きなど、価格的にちょっと厳しい物件ばかりだった。そろそろ足が棒になりかけていたところでもあったので、少々キズ有りでは有ったが動作には問題なしだったので、購入に踏み切った訳だ。

 ところがこのT70、東京まで出かけて購入した割には、メインの座から滑り落ちるのにあまり時間を要さなかった。結局どうしてもT90が欲しくなり、アルバイトでコツコツと貯金をして翌年には新品のT90を購入してしまったからだ。更にT70の悲劇はとどまるところを知らず、更に数年後には、メカニカルシャッターという大変魅力的な機能を持つEFを購入してしまったので、サブカメラの地位さえ追われてしまった。

 今では電池室の蓋が破損してしまったため、防湿庫で眠り続けている。それでも思い出のカメラだけに、どうしても手放すことができない。こうやって、防湿庫はどんどん埋まってゆくのだ。

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