岐阜市に隣接し、航空自衛隊岐阜基地があることで知られる各務原市の住宅街に建つ火の見櫓。
高さ19mと高層の櫓は、等辺山形鋼の脚が直線的にすらりと上方へ延びており、11節のリング式ターンバックを持つ筋交が、繊細なシルエットを形作っている。
丸型の屋根に棟飾りという曲線を中心にした屋根の造形と、直線的に構成された見張台や桁とのバランスが絶妙である。
半鐘にも見張台と同じ形の小さな屋根が掛けられるなど、細かな部分の造形にも工夫が凝らされており、登録有形文化財として非常に見るべき部分の多い櫓である。
細い路地を進んだ先に立っている。周囲は住宅に囲まれているが、櫓は高さが19mあるためひときわ高く、遠方からでもよく目立つ。
丸屋根に棟飾りという珍しいデザインで、頭頂部の飾りと共に繊細なな印象を受ける。
昭和12年当時の流線型ブームを巧みに取り入れたものだろうか。
中間の踊り場部分に吊るされた半鐘にも屋根が掛けられているが、見張台の屋根をそのままミニチュアにしたようなデザインで、非常に凝っている。
基部には製造銘板、製造年銘板、分団銘板、登録有形文化財プレートと多くの銘板が取り付けられており、非常に賑やか。
「岐阜 熊田商店鉄工部製」の銘板。
残念ながら「鉄」と「工」の間で中折れしてしまっている。
「昭和拾貮年壹月建設」の銘板。
7月には盧溝橋事件が発生するなど戦火が迫り来る時期に、このような立派な櫓が建造され、なおかつ戦中の金属供出も逃れたというのは僥倖といえよう。
「那加消防組前野部」の銘板。梯子へのアプローチとなるアーチ部に取り付けられている。
「登録有形文化財」のプレートが誇らしげに掲げられている。文化財として末永く保存され、地域防災のシンボルとして活躍することを願いたい。
梯子の上り口には、なぜかRがついている。
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