火の見櫓図鑑

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京橋の火の見櫓

概要

 岡山市中心部の南側、市内を流れる桜川の川べりに立つ火の見櫓。

 当時岡山市内を行商していた坪田利吉氏が私財を投じて寄贈した十二基の櫓のうちの一基で、現地の説明板によると市内には他にも坪田氏の寄贈した櫓が三基残存しているとのこと。

 2004(平成16)年には老朽化のため撤去の計画が持ち上がったものの、地元町内会を中心とした保存活動が展開され、2005(平成17)年には修復が行われ、2006(平成18)年1月に登録有形文化財の指定を受けた。ただし、周囲を探したが他では見られる「登録有形文化財」のプレートは設置を確認できなかった。

 近傍には、同じく登録有形文化財に指定された京橋水管橋、土木学会選奨土木遺産に指定された京橋があり、岡山の近代化を象徴するエリアとなっている。

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特徴

明川の堤防上に建てられている。広い川の堤防上で全高も21.1mと高いため、見張台からの周辺への視通は良好と思われる。

屋根、見張台は四角形で構成され、装飾的要素は少なくシンプルな形状。半鐘は撤去されているが、代わりとなるサイレンや防災無線のスピーカーは設置されていない。

毎月第一日曜日は周辺で朝市が開かれることから、脚部の中央部分には「京橋朝市」のタペストリーが四面に掲示されており、朝市の案内看板のような役割を負っている。

主材と水平材・斜材との締結部にはプレートは使用されておらず全てリベット留めになっている。そのためか細身の本体と併せて全体的にすっきりした印象を抱かせる。

締結部の裏側。斜材の丸鋼は端部が板状に加工され、リベット二点で留められているのがよく分かる。水平材もリベット二点留め。

斜材の交点結合はリング式のバックルによる。丸鋼の端部を螺子切りし、六角ナットの締め付けによって各方向への張力を調整する一般的な方式。

基部はフェンスで四方を囲われており、安易に近づくことが出来ないように保護されている。

大きめの登録文化財の案内看板が掲示されているが、他の登録有形文化財の櫓では見られる文化庁の「登録有形文化財」の銘板は設置されていないようで、櫓の周囲には見当たらない。

櫓の80mほど下流側に架かる京橋水管橋。こちらも水道用鋼製橋としては最初期のものであるとして、火の見櫓同様登録有形文化財に指定されている。並行する路面電車の走る道路橋「京橋」も土木学会推奨土木遺産に指定されており、京橋周辺は岡山市近代化遺産の集積地であり古くから要衝であったことが伺える。

土木遺産「京橋」から京橋水管橋越しに眺めた京橋の火の見櫓